水星の近日点移動(1)
観測される水星の近日点移動に、ニュートン力学によって計算される値から、1世紀に40秒程度のずれがあることは19世紀から知られていた。このずれをアインシュタインが1915年に一般相対論によって説明したのは有名な話。
この計算は昔やったことがあって簡単だった記憶があるのだが、どうやったか完全に忘れてしまった。今回また一からやりなおしてみる。
まず、重力場内でのテスト粒子の測地線の方程式を導く。
をパラメーターとして、粒子の軌道を とする。
と書くことにして、F を
とする。
軌道の線素 は
となる。
以下西海岸メトリック(timelike convention)を使うことにして、測地線は
を満たすから、オイラー=ラグランジュ方程式は
となって、これを変形して
は任意のパラメーターだったから、ここで を軌道の長さ s と一致するようにとる。つまり とする。そうすると軌道上で
だから
となって、(1)の最初の項が落ちて
以下これを測地線の方程式として使う。
と書いたけど、(2)で なんだから とかになるんじゃないの?って思われそうだからちょっと注釈。
(2)は軌道上(この軌道は別に測地線である必要はない)で という意味。 は軌道に沿った微分だから(3)は 0 でいい。
とかは軌道を仮想的にずらしたときの変化だから必ずしも 0 にはならない。つまり仮想的な軌道上では でなくてもいい。
道なりだと で一定だけど、横道にそれると は変化するって感じだろうか。