2013-01-01から1年間の記事一覧

水星の近日点移動(8)

前回 の近似解を求めて となるところまで計算した。ところで、前回の (3) のところで変数 ξ を導入したとき ξ≧0 とした。x で考えると、これは x が最大値から最初に 0 になるところまで、およそ4分の1周期しか計算できていないということになる。 (1) の振…

水星の近日点移動(7)

これから水星の軌道を摂動の2次の近似で求めることにする*1。 まず前回の (4) 式 の近似解を求める。(1) を振動子の方程式と見て x を質点の位置、ψ を時間と考えることにする。 ψ=0 で質点の位置が正方向に最大になるように初期条件を選ぶ。 質点が初期位置…

水星の近日点移動(6)

前回までで一応近日点移動の値は求まったのだが、前回の (13) 式 で、 の項を落とすという多少乱暴というか謎な方法を採用していた。 今回はこの項を落とさずに摂動論で近日点移動を求めてみる。式を見やすくするために変数 x, ψ を導入して と変換すると こ…

水星の近日点移動(5)

前回の (1) 式を で割った式 から の項を落とした式を書き換えて まで計算したのだった。 の項を復活させると 見やすくするために として、u を y で書き改めると ここで とした。 で、この形になれば を摂動項と見なせることは明白だ。(3) を振動子の方程式…

∫dx/√{(x-ξ)(x-η)(x-ζ)}

の計算を考える。これは初等関数では表せないが という積分に帰着できる。F(z,k) は第一種楕円積分, K(k) は第一種完全楕円積分と呼ばれる*1。まず (1) で ξ=-1, η=1 とした特別な場合を考える。 調べてみると として、 の零点 1, -1, 1/k, -1/k が、 の零点…

水星の近日点移動(4)

前回 まで計算したのだった。ここで として、r の代わりに u の方程式に直す。 普通の単位に戻すと となって、少し変形して は太陽のシュヴァルツシルト半径。導出は省略するが、これに対応するニュートン力学の式は、 をニュートン力学の力学的エネルギーと…

和算の問題を解いてみる(3)

前回の最後の式 を因数分解すると この方程式の根のうち は の小さいほうの根より大きいから、前回の終わりのところで書いた理由で不適。 z が実数のとき だから、結局 これを解いて z を求めてもいいのだが、大きい円の半径を直接求めたほうが楽だ。大きい…

和算の問題を解いてみる(2)

今回は、あとで思いついたもうひとつの解法。 次の補題を使う。補題) 三角形 ABC で c=AB、内接円の半径を r とすると ほとんど明らかだが、一応証明しておく。 を に代入すればよい■問題を再掲しておく。 補題と記号が被ってるけど大丈夫だろう。問題:図で…

和算の問題を解いてみる(1)

先日某所で見つけたもの。問題:図で正三角形の1辺が1、小さい3個の円が同じ大きさとする。大きい円の半径を求めよ*1。調べてみると、NHKの「おはよう日本」で9日に紹介されたものらしい。 番組紹介を見ると愛媛県太山寺の算額の問題とあるのだが、自分の目…

円盤上の2点間の平均距離

以前、某所で答えた問題。 難しくはないけど、途中の計算が面白い。問題: 単位円盤上に一様かつ独立にランダムな2点を取るとき、2点間の平均距離 はいくらか?シミュレーションしてみると 程度の値になる。 正確な値を計算で求めてみよう。 極座標で2点を と…