水星の近日点移動(7)
これから水星の軌道を摂動の2次の近似で求めることにする*1。
まず前回の (4) 式
の近似解を求める。
(1) を振動子の方程式と見て x を質点の位置、ψ を時間と考えることにする。
ψ=0 で質点の位置が正方向に最大になるように初期条件を選ぶ。
質点が初期位置 X から x まで動くのにかかる時間は、x から X まで動くのにかかる時間と同じだから*2
非線形振り子の記事でやったのと同じように
となる変数 ξ(≧0) を導入する。
(3) を x について「解く」と、非線形振り子の記事の (4) で n=3 としたものになって
(2) の変数を x から ξ に変換する。
X は質点の位置の最大値だから、x=X のとき 。だから (1) より 。このとき (3) より ξ=1 だから積分の上限は 1。あとは (3)(4) を使って
ξ=cosθ と置換すればこれは簡単に積分できて
これを (3) と合わせれば x と ψ の関係が決まるので、これで一応微分方程式 (1) は解けたわけだが、このままでは見づらいから、まず (5) を ξ について解く。
とすると
だから
少し変形して
(6) から となることを使った。
両辺の cos を取って
ここで、f(x) が微分可能で が小さいとき となることを使って、 を cos の外に出した。これと同様の変形は以下断らないことにする。
(7) は解くべき ξ が右辺にも現れていて、わざわざ変な形に書いたようだが、以下でやるように右辺を ψ だけの式に直せる。
まず
これから
これを (7) の左の √ のところに使って
加法定理で展開して
のとき であることを使った。
これからまた を求めると
これと (8) を (7) の cos の中身に使って
あとは (9) を求めたときと同じように加法定理で展開して
2番目の等号のところで |x| が小さいとき であることを使った。
ここまで何をやってきたかというと、(8)→(9)→(10) と粗い近似値を (7) の右辺に繰り返し代入して、精度を上げてきたのだ。
(10) を (4) に代入すれば x を ψ で表せる。単純な計算なので結果だけ書くと
倍角、3倍角公式を使えば
ちょっと半端だが続きは次回で。