量子エネルギーテレポーテーション(1)
普段覗かせてもらってるブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kafukanoochan/65166847.html
に面白そうな話が紹介されていたので、論文を読んでみた。
読んだのは
http://www.tuhep.phys.tohoku.ac.jp/~hotta/extended-version-qet-review.pdf
Masahiro Hotta, Quantum Energy Teleportation: An Introductory Review
で、これの
3 Minimal QET Model
の計算を追ってみる。
相互作用しているスピン1/2の2個の粒子 A,B の系を考える。ハミルトニアン H を
とする。σ はパウリ行列、h, k はエネルギーの次元の正の定数。
の定義は論文から定数ぶんずらしてある。
合成系の状態ベクトルを のように書くことにする。添字 A, B は適当に省略する。
z方向のスピンの固有状態 を基底ベクトルとすると
H の固有値は だから、基底エネルギーは 。基底状態 |g> は
x 方向のスピンの固有状態を |→>, |←> とした
φ は
となる角。倍角公式を使えば
系は最初基底状態にあるとして、A の x方向のスピンを測定する。
の固有値を α とする。
1/2 ずつの確率で α=1 または α=-1 の測定値が得られる。
この測定により波束の収縮が起こり、α=1 の測定値を得た場合、測定直後の状態 |A(1)> は、上の |g> の式から
α=-1 の測定値を得た場合、測定直後の状態 |A(-1)> は
となる。
ここで、測定の前後の系のエネルギーを見てみる。
なので
についても同様に
V については
とかになるから
だから
測定後の状態は直積状態だから簡単。
書きづらいから の代わりに と書くことにする。
複号は同順を取るものとする(以下も)。
以上から、測定の前後で の期待値は変わらず、 の期待値の増加 が
であることが分かる。
つまり、測定によって A がエネルギー的に叩き上げられ、そのエネルギーは B にはまだ及んでいないということだろう(たぶん)。