tan(3π/11) + 4sin(2π/11)
これも以前某所に書き込んだもの。
表題の式を計算する問題で、別に難しくはないが、初めて見たときはなんでこんな値になるのか結構驚いた。
三角関数の公式でひねり回せば解けるのだが、別の角度から眺めてみる。
p を素数として、g を p の原始根、x を 1 の原始 p 乗根とすると
が成り立つ。
これの証明は難しくないが、うまく書けないから認めてしまうことにする。
p=11 とする。11 の原始根として g=2 をとる。
とするが、しばらくは x が 1 の原始 11 乗根であることしか使わない。
(1) にこれらを当て嵌めれば、
mod 11 で
だから、 を使って
上の式の括弧の中は、2項だけを除いて、x の奇数次の項の符号がプラス、偶数次の項の符号がマイナスになっているという「特殊事情」がある。これを利用して括弧の中を簡単な形に変形できる。
等比数列の和の公式を使って
第1項の分子分母に をかけて
を使って
ここで、上の x の値を使えば、
以上から
は明らかだから、結局
以上で導けたわけだが、最初の(1)式が突然降って沸いた理由を書いておく。
tan(3π/11) や sin(2π/11) は 1 の原始11乗根(と虚数単位)の有理式で書ける。
1 の原始 p 乗根 の有理式で または になるものは、本質的に(1)(の左辺の括弧の中)しかないことがガロア理論から分かるので、(2)と(1)(の p=11 の場合)は同じことを別の書き方で書いているに過ぎない。