水星の近日点移動(4)
前回
まで計算したのだった。
ここで
として、r の代わりに u の方程式に直す。
普通の単位に戻すと
となって、少し変形して
は太陽のシュヴァルツシルト半径。
導出は省略するが、これに対応するニュートン力学の式は、 をニュートン力学の力学的エネルギーとして
は相対論的なエネルギーなので、 と の間に
の関係があると考えれば、
だから
つまり (1)(2) の右辺の u の0次の項はほぼ等しい。u の 1,2次の項も、細かいことを言えば微妙に異なるのだが、等しいと見てよい。結局、両式の本質的な相違は (1) が u の3次の項を余分に持つことだ。
u は水星と太陽間の距離、およそ km の逆数。太陽のシュヴァルツシルト半径 は約 3km。だから は 程度で、(1) の形から u の3次 の項は u の2次の項に比べて桁違いに小さく、u の3次の項を摂動項と見ることができる。
まず (1) から u の3次の項を落とした式
の解を見ておく。
両辺 で割って、右辺を u について完全平方すれば
ここで
とした。
は長さ、A は長さの -2乗の次元を持ち、(4)の形から A≧0。だから無次元の実数 e (≧0) を導入して とできる。
u を質点の位置、φ を時間と見れば、この式は調和振動子と同じ形で、解は
となる。ただし、φ の原点で u が最大値を取るように初期条件を選んだ。
u = 1/r で r の式に戻してやると
これはよく知られた2次曲線の極座標表示で、e は離心率、 のほうは半直玄とか言うらしい。
水星の場合、e≒0.2 の楕円軌道になる。